TPUフィラメントで3Dプリンタの可能性が広がる
TPUフィラメントを試してみようと思います
今回購入したTPUフィラメントはこちら。
TPU(熱可塑性ポリウレタン)とは
3Dプリンタの材料は PLA と ABS が一般的ですが、TPU はゴムみたいな柔らかい素材です。とはいっても、輪ゴムのようにびよーんと伸びるわけではなく、ゴムホースとか便所サンダルのような感じです。手触りはABSに近いです。フィラメントの状態では、軽く湯通しした歯ごたえ抜群のマロニーみたいな感じ。
TPUの性質をいろんなサイトで調べると、
* 丈夫で弾力があり低価格。
* 吸湿しやすいので湿気に注意。吸湿したまま造形に使うと不良の原因になる。(ABS や PLA も同じですが)
* 熱に弱い(3Dプリンターの材料になるぐらいだから当然ですね)
* 薬品に弱い(ケトン・アセトンなど)
* ポリエステル系とポリエーテル系がある。(3Dプリンタのフィラメントにはどちらが使われているか書かれてないので不明。)
* ポリエーテル系は、耐菌性・耐加水分解性に優れ、医療器具などに使われる。耐熱温度 70℃
* ポリエステル系は、高温多湿の環境で微生物がわくと分解されてボロボロと崩れてくる。耐熱温度 100℃
スマホのケースとして使われているぐらいだからあまり気にすることもないかなーって(希望的観測)。
さっそくテスト印刷
さんざん糸くずを増産しましたが、やっと形になるパラメータにたどり着きました。
効果があったのは
* ノズル温度 230℃
* 印刷速度 15mm/s
その他のパラメータはPLAと同じで良さそうです。
柔軟性の確認
これを
ぎゅっ
Infill 20% の1辺 20mm のキューブですが、ハードグミぐらいの硬さです。
何か作ろう
うちの掃除機は隙間ノズルを操作部の裏に引っかけて吊るすタイプです。
出典:パナソニックの取扱説明書 P4
しかし、この吊り下げ式、だんだんゆるくなって知らない間に脱落。ノズルを部屋中探しまわることが増えてきました。
なので、この隙間ノズルをがっちり取り付けられるホルダーを作ろうと思います。
掃除機の取付部の外形を採寸してモデリングします。
スロットに台形を組み合わせてRをつけたような微妙な形状なので正確に再現するのは難しそうです。なのでそれっぽく適当に。
隙間ノズルを採寸してモデリングします。
シェルをかけます。方向
は「両方」に設定し、内側
を修正することによって嵌めあい調整、外側
を修正することによって外形寸法を調整できます。今回は内側はゼロ、外側を2mmに設定します。面/ボディ
は上面と下面を両方選択すれば、コップ型ではなく底も貫通した筒型になります。
同様に隙間ノズルもシェルをかけます。隙間ノズルはちょっと硬めに勘合させるため、内側 0.3mm 外側 2mm に設定しました。
2つのパーツを連結します
掃除機側に突起があるので、孔をあけてよけます。(本来、隙間ノズルを保持するための突起ですが、ホルダーの脱落を防止するフックとして使います。)
なんとなく三角リブを立ててみたり
仕上げにエッジをつけて完成です。
印刷速度が激遅の 15mm/s なので レイヤー厚 0.3mm でも完成まで6時間ぐらいかかりました。
掃除機に取り付け。かなりキツかったのですが、5分ぐらいかけてジワジワ動かしなんとか付きました。
隙間ノズル取り付け
どうですか
黙って置いておいたら誰も気付かないであろうこの完成度(自画自賛)
このフィット感もTPUの弾力があるからこそ。ABS や PLA では無理でしょう。
まとめ
タイトルで「3Dプリンタの可能性が広がる」とか煽っておきながら、相変わらずのホルダーだった。
おまけ(ホルダー職人 5月編)
材料は TPU ではなく PLA です。
こういうの、メーカーで発売してくれるといいと思うのです。(マグライトはあるよね)
上に向けておくとライトのレンズにホコリが積もるのでカバーを付けました。下側の受け皿も中央がライトの太さに合わせて凹んでいるので収まりは良好です。
このパステル調の色合い、気に入りました。
これからの季節、お世話になります。