スクラッチ&スクラップ

簡単なプログラミングや電子工作など。しょうもない工作の記録。

基板風の名刺を作ったら名刺サイズの基板だった

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基板で名刺を作ってくれる基板屋さんを見つけた

いろんな基板屋さんのサイトを見て回っていたら、プリント基板で名刺を作るサービスをやっている基板屋さんをみつけました。

インパクト抜群!基板の名刺! -株式会社ユニクラフト-

検索してみると、同様のことをやって遊んでるかた、わりといらっしゃるようです。基板で年賀状を作っている方もいらっしゃいました。

基板年賀状2017 | 特殊電子回路

やってみよう

適当にフットプリント並べてそれっぽっく配線してもいいけど、どうせなら動く回路がいいよね。ちょうど手元にあったPLDの開発ボードを再現してみようと思います。

こちら記事でも使った基板です。
macrochelys99.hatenablog.jp

回路図

開発ボードの回路図が公開されていたのでありがたく参考にさせていただきました。電源周りは簡略化。
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アートワーク

単純な回路なので自動配線は使わず見た目を重視で手動配線します。
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長くて他の信号線をまたいでいるクロックとか
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渦電流の発生しそうな無駄に広いベタGNDとか
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PLDの回りを電源ラインが囲っているので、戻り電流のGNDが狭くない?とか
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まさかりホイホイ話題のネタもそこそこに。シルクはあったほうが「動くんだぞ」感出るよね。
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名前とブログのURLはレジスト抜きで入れました。QRコードもあるよ!
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ポチる

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(送料別)

届いた

レジスト抜いたとこは金フラッシュでピカピカ
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まんなかの大きくて邪魔なスルーホールは、裏面に描いたワニガメさんの目玉でした。
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感想

  • 有鉛ハンダーレベラーなら送料別で 10枚 $4.9 でしたが、ENIG(無電解ニッケル/置換金メッキ)なので $29.9 でした。でもお値段以上の仕上がりになったと思います。

  • 金メッキの文字は、うまく光源の光を反射してくれればキレイだし読みやすいのですが、そうでないと暗くて読みにくいです。QRコードも光の条件によっては読めませんでした。

  • 板厚は 0.8mm で作りましたが、曲げた時の硬さはクレジットカードよりは硬いかなーというぐらい。QFP実装して曲げたらハンダクラック入りそうです。

  • また作る機会があったらArduino互換の痛基板で名刺に挑戦してみたいのですが、絵心皆無なのでイラストどうしよう。

  • タイトルにも書いた通り、名刺を作ったはずが出来上がったのは名刺サイズの基板でした。回路は小規模なものが隅にちょこっと入っているぐらいが良さそうです。

3Dもモジュール化しよう

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部位ごとにモジュール化して使いまわす

プログラミングでは、よく使う機能は別ファイルから呼び出して使い回しますよね。3Dでも汎用性のある部位はそこだけ別ファイルにして再利用すると便利になったり、ならなくもなかったり。

例えばホルダーのフックとか

ポール径25mmのスタンダートサイズのワイヤーラック用

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ポール径13mm/19mmのスリムサイズのワイヤーラック用

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100円均一のカゴ用

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ホームセンターのコンテナ用

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どれもほとんど同じで違いが判りませんね。

ホルダー側

温湿度計用

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お札用

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タブレット

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スクレーパー用

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どれもほとんど同じで違いが判りませんね。

組み合わせる

お札ホルダー × メタルラックΦ19用フック

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そのまま載せるとよくワイヤーの隙間から落ちてくるんですよ。
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温湿度計ホルダー × 百均カゴ用フック

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そのまま置くとスタンドが不安定ですぐ倒れてくるんです。
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タブレットホルダー × メタルラックΦ25用フック

画面に傷がつかないようにクッションテープを貼ってあります。
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目線よりやや高いところに設置するので、わずかに手前に傾斜させています。
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スクレーパーホルダー × 百均カゴフック

サポート除去前
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サポート除去後
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便利です。久々のヒット作。
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やりかた

アセンブリと同じです。

  1. 使えそうな部位はそれぞれ別ファイルとしてモデリングします

  2. 新規作成からカラッポのまま一旦保存します。

  3. プロジェクトから作業領域にポイッ(ホルダー)
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  4. 使うパーツをポイポイッ(フック)
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  5. フックが横を向いているので向きを合わせます
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  6. 修正位置合わせ から
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  7. 動かしたいものをクリック(フックのホルダーと接する面)
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  8. 次に動かしたいものをくっつける面をクリック(ホルダーの背面)
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  9. フックの位置を底面から 80mm の位置にしたいので、フックのワキノシタ(?) を位置合わせで底面に合わせてから
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  10. 修正移動/コピー で 80mm上に移動します。
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  11. 位置合わせ でホルダーの側面とフックの側面を揃えます
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  12. 作成ミラー を実行すると「一部のコンポーネントが移動されています。」と警告が出ます。現在の位置を基準にミラーするので「位置をキャプチャ」を選びます。
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  13. パターンタイプは「コンポーネント」、オブジェクトはフックをクリック、対称面はツリーリストから 原点YZ を選択。フックがミラーコピーされて2本になりました。
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  14. フックとホルダーが密着しているか、拡大して確認しておきましょう。

  15. ツリーの一番上の丸ボタンをクリックするとアセンブリ全体が選択されます
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  16. それからメイクボタンを押すとアセンブリのままSTLに出力できます
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  17. 造形して試したらちょっとキツかったとかユルかったという場合は、モジュール化した元の部品を編集します。するとアセンブリに三角マークが表示されますので
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  18. 右クリックして最新を取得で変更がアセンブリに反映されます。
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モジュール化した部位を元に、ボディーを追加して使う

ホルダーとフック、2個のモジュールを組み合わせて部品を作りましたが、1個のモジュールにフィーチャーを追加しても良いです。

モジュールを1個取り込んで(コンテナ用フック)
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ボディーを書き足す
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完成
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排水詮チェーンのアンカーでした。
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おまけ

このコンテナはカメを飼っているのですが、カメは糞尿で水をとても汚すので気温が上がってきたら毎日の水替えになります。ベランダに排水を撒きたくないので毎回トイレまでコンテナごと運んで流していました。

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今回、このコンテナに排水詮をつけて排水はプランターに流すことにしました。カメの肥やしで野菜が育つか試してみたいと思います。(食べるとは言ってないよ!

高感度雨センサー(失敗編)イオンマイグレーション

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このエントリの続編です。 macrochelys99.hatenablog.jp

雨センサー届いたけどイオンマイグレーションぽい絶縁不良が発生して、電極は金メッキじゃないとダメかという話。

雨センサーの基板が届きました

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4/15 早朝に注文
4/23 午後4時半頃 完成・出荷したよとメールが届く
4/23 午後5時頃 DHLから携帯に「4/24 に配達するよ」とSMSが届く
  当日不在のため 4/26 夕方に届けてもらうよう SMSに書かれていたURLから配達日変更を依頼。
4/26 受け取り

配達日変更の依頼をしなければ、実質翌日配達。しかも出荷は午後4時過ぎ。DHLスゲー!

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センサー面のハンダレベラーで一面ギラギラです。

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別の基板も一緒に頼んでいました。DHLは送料が高いですが、複数の基板をまとめてしまえば割安になりますね。

基板チェック

断線や短絡はありませんでした。

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ヒーターの抵抗を測定したら 19Ω ぐらい。構想編の記事で「計算上は 20Ω」と書きましたが、予想以上に一致していますね。しかし、10枚全数測定したところ、16Ω とか 24Ω なんてのも混じっていました。

ヒーターに 5V を印加すると、電流は 0.25A。触るとほんのり暖かく、ちょっと体温が高い人の手を握ってる感じでしょうか。ヒーターは期待通りです。

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0.25mm幅のパターンの中心を 0.2mm のレジスト抜きとハンダレベラーをしてあります。精度よく出来上がっていると思います。写真では光の具合で黒くなっていますが、ハンダでギラギラしています。

水滴を落として検出具合をみる

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コンパレータ基板のアナログ出力は、ほぼ電源電圧。

ちなみに、コンパレータ基板のアナログ出力は、電源電圧を 10kΩの抵抗と雨センサーで分圧しているだけです。
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出典:HiLetgo® 5個セット LM393 雨滴センサー 天気モニターセンサー ニッケル プレート3.3-5V [並行輸入品]

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水滴をポタっと1滴落とすと電圧が半分ぐらいになりました。雨センサーの抵抗値が 10kΩぐらいになったということですね。

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あれ? なんか泡立ってきました。 電圧かかってますから、水滴が電気分解されているんでしょう。

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泡がかなり増えてきました。赤丸で囲んだ4つの白い光はカメラに内臓された照明が水滴に写り込んでいるだけです。

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カメラはUSBでつなぐやつです。添付のソフトの xploview が便利です。インターバル撮影や動画も撮れますし、ロジクールなどの普通のUSBカメラでも使えます。

SIGTHTRON USB顕微鏡 倍率60・250倍 ナノキャプチャー(nano.capture) SP725S

なんかおかしい

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しばらくすると、コンパレータ基板の出力電圧が 0.3V とかになってるんですよ。これって雨センサーの抵抗値が 約640Ω。そんなに下がりますかね?

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なんか白いブヨブヨしたのがいっぱい沸いてる。中央の丸いのは気泡。

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拭き取った後はこんな感じ。1本置きに色が変わってますね。電気分解に例えるなら、陽極側の電極が変化している感じです。

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何がおきたのか確認するために、微小な水滴を落として観察してみます。さっきと同じように、気泡とモヤが沸いてきます。

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2本の電極の間を、植物の根のような形状の何かがぶら下がっています。これは、イオンマイグレーションとか言うやつではないでしょうか。

イオンマイグレーション

産業界でもこれで故障が出るようです。

基板上のコネクターに、電源・GND・信号線・GND・信号線・GND..... のような並びで狭ピッチの端子が存在する。
 ↓
気温など環境の変化で基板が結露する。
 ↓
電源-GND間や、HIGHが出続ける信号線-GND間が水滴でつながる。
 ↓
電流が流れて金属がイオンとなって析出、やがて短絡する。
わかりやすいショートではなく、中途半端に抵抗値を持っているので不良原因の特定に時間がかかる。

市販の粗いセンサーはどうなの?

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通電前
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1分後
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2分後
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約1時間放置してたら乾燥してた
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左端あたりをさらに拡大
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電極が茶色くなっているし、これ腐食してますね。テスターで抵抗測ると 100MΩ以上あるけど時間の問題のような気がします。

でも市場にはこれが出回っているわけだし、不具合出ていないのでしょうか?外だと雨で流れるし風で乾燥しやすいから問題になりにくいとか?

じゃぁどうする

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ハンダレベラーじゃなくて金メッキか

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$4.9 → $29.9
高いよ。10枚の価格だし安いんだけど、デフレに慣れちゃったからやっぱ高い。

基板が届いたので粗探ししました

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一番最初に発注した基板が届きました。

macrochelys99.hatenablog.jp

発送連絡から到着まで9日、シンガポールポストにしては早い.....のかな? DHLだと3日らしいので、$20払って1週間短縮させるかどうかって判断になりそうです。

目を凝らして粗探し

銅箔パターンの欠け

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↓ 拡大
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ベタGNDが欠けちゃってますね。細いパターンの上だったら断線です。

シルクのかすれ

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謎の汚れ

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こすっても取れないけど何だろう。

これで10cm×10cm×5枚で約500円(送料込)です。

ショートや断線してないので充分です。ただ、細かく作りすぎた雨センサーはどうなるか。断線とかしていないと良いのですが。

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お安くなるのは回数制限あるようです。それでも十分安いのですが、きっと他の基板屋さんも使ってみてねという。送料込 $7.9 のコースについては何も書かれていないけどどうだろう。

3Dプリンタで初めてオリジナルの部品を作った時のような

基板作ったけどこれで何をするか、まだ決まっていないのでした。でもこの基板、眺めてるだけでも楽しいですよ。陶芸みたいな感覚でしょうかね。

高感度降雨センサー(構想編)

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Amazonでも安い電子回路モジュールがいろいろ売られていますが、買ったまま使ってない物の一つ。雨センサー。


2本のパターンの上をブリッジするように雨滴が落ちると抵抗値の変化で降雨を検出、というのは簡単に理解できます。買ってから試しに水滴を落としてみて、出力電圧が変化するのを見て納得してそれっきりでした。

この商品レビューで気になる記述がありました。要約すると、

  • 降雨と結露の区別が付かず、雨が止んでも検知基板が濡れていれば自然乾燥するまで信号が出続ける

  • もっとパターンのピッチが狭いセンサーの物は、近くで雨が降るとその霧のようなものが風に運ばれて、それでも警報が鳴る(降る前に検知できる)ので便利。

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雨センサーといえば洗濯物用に作る人が多いと思いますが、この 5cm×4cm の小さなセンサー領域に大粒の雨滴が落ちる頃には洗濯物は絶望的な状況なわけで、もっと早期の検出が期待されます。そのためには、もっと大きなセンサー(基板)とパターンの細密化をすれば良いということになります。雨が上がったのなら早めにセンサーには復帰してほしいですし、結露による誤検出も防ぎたいので基板A面B面で水滴検出パターンとヒーター用パターンで使い分けます。

回路

部品はコネクタ1つだけ
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パターンがあるのに何も部品が接続されていないとエラーが出るので、でテストパット(J2, J3)を置いています。コンパレータは購入した雨センサーの基板を使います。

基板

サイズは、お安く作れる最大の 10cm×10cmにします。

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A面はヒーター。幅0.25mm のパターンを 9.6m引きまわしています。20Ωの抵抗を持つ計算になります。定電流で 250mA ぐらい流しておけば、1W強のヒーターとして使えるはずです。基板温度がわずかに気温より上がってくれれば良いのでこれでやってみます。

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B面は雨検出用の櫛型電極。こちらも幅 0.25mm のパターンを 25mil (0.635mm) ピッチで 125本配置しています。やりすぎですね。たぶん早々に汚れでショートするか、腐食で断線すると思われますが、かまわず進めます。0.2mm のレジスト抜きをして、ハンダレベラーしてもらいます。

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KiCad には基板を 3D 表示する機能があります。対応している部品を使っていると、部品も載った状態で 3D表示できるようです。これを IGES とかの 3Dデータで出力できれば 3D CAD でケースを設計するときにとても便利なのですが、できないようですね。回路CADの Eagle が Fusion360 と連携するとかしないとかって話がありましたが、あれはどうなったのでしょうか。

とりあえず基板発注

FusionPCBの $7.9 コースだと、板厚 1.6mm で変更できません。厚いとヒーターの効きが悪そうなので、0.8mm にします。なので送料別の $4.9 コース。送料込$7.9 コースで使ったシンガポールポストはものすごく遅くて 15~30日とか書いてあるので今回は DHL を指定。送料約 $20 だけど3日で届くそうです。なにこの差。

ガーバー拡張子の疑問

  • 基板外形は GKO / GML ⇒ Gerber Keep Out layer / Gerber Milling Layer
  • A面パターンは GTL ⇒ Gerber Top Layer
  • A面レジスト抜きは GTS ⇒ Gerber Top Soldermask
  • A面印刷は GTO ⇒ Gerber Top Overlay
  • B面は Top が Bottom に変わって GBL, GBS, GBO など

なんでドリルが TXT なの? drl のままでいいのに。

基板製作に挑戦の巻

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今回、回路設計 → 基板設計 → 発注 までを挑戦したので、やったことを書いておきたいと思います。まだ完成品は手元に届いていません。

基板、つくろう。

オリジナルの基板作りは、前々からやってみたかったのですが、Cadrus とか Design Spark とかインストールしたまま手を付けず数年経っていました。そして先日、がぜんやる気にさせてくれるテキストを発見!
make.kosakalab.com

「最もわかりやすい(自画自賛)KiCad実習テキスト」と紹介されていますが、何より、やってみたいという気持ちになりました。

KiCad はオープンソースのフリーウェアですので誰でも無料で使えます。まずは、このテキストに書かれていることを忠実にトレースし、ガーバーをビューワーでチェック。それっぽいものが出来ていることを確認できましたので、次は自分でオリジナルの回路を描いてみます。

まずは回路図

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中央の大きなコネクタは、Arduino Nano を挿すピンソケット。左側は電池を接続するターミナルと、昇圧モジュールを挿す3Pのソケット。右側は I2C と、信号線・電源・GNDをセットで引き出せる端子を4組。Arduino Nano を電池で動かし、信号線を引き出しやすいようにするだけの中継基板ですね。昇圧前の電源入力を A0 に接続し、電池の残量もチェックできるようにしておく。これを作ろうと思います。

ものすごい量の回路図のシンボルや基板のフットプリントが用意されています。その中から選ばなければならないので、3D CAD のように「機械の知識なくてもモデリング可能」のようにはいかず、回路や電気部品の知識は必須でしょう。今回のは抵抗1本の他はコネクタだけなのでなんてことなかったのですが。

基板に部品を配置してパターンを引く

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ベタGNDは自動でやってくれるのでらくちんです。

ここでハマったこと

グローバル移動/配置全てのフットプリントを展開 で、かたまった部品を拾いやすいようにバラけて配置してくれる機能があるのですが、フットプリントモードを自動にしても、このメニューが出てこない。
⇒ 表示モードがOpenGL(3D) だとなぜかメニューが出ない。標準 に切り替えると出た。

配線モードで右クリック → 配線オプション で押しのけ配線モードに切り替えたいのだが、右クリしても配線オプションのメニューが現れない。
⇒ 表示モードが 標準 になっているとメニューが出ない。OpenGL(3D)に切り替えると出た。(これはテキストにもちゃんと書かれていた)

ガーバー出力

テキストと基板メーカーのサイトで設定内容がちょっと違うところがありますが、今回はテキスト通りにやりました。

基板メーカーにデータを送る

FusionPCBElecrow どちらに頼もうか? 値段はどちらも同じ感じ。100mm×100mm の2層基板 10枚で $4.9 、送料が選ぶ運送会社によって違って $8~27。と思っていたら、FusionPCB で送料込 $7.9 のセールをやっていました。サイズは 100mm×100mm以下で5枚。レジスト色は選べますが板厚や表面処理は選べません。期間限定なのか、年中やっているのかは判りません。

ということで、FusionPCBの $7.9 コースに決定。設計した基板は 50mm×50mm なので面付けし、100mm四方の基板から4枚取れるようにします。だからトータル 20枚。値段は1枚あたりは日本円で40円。恐るべし。

ここでハマったこと

データをアップロードすると、基板の内容をチェックする画面を開くことができます。
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ドリルのデータが左下にモシャモシャっとかたまっています。スケールがおかしいですね。
⇒ 気にせずそのままでOK。

gerbvなどのガーバービューワでは正常に見えていたので、そのまま送りました。 そして、スイッチサイエンスでも基板製造をしているようなのですが、右上の seeed のロゴは FusionPCBの会社ですね。つまりスイッチサイエンスは仲介をしているだけと見受けました。そこに f:id:macrochelys99:20180412015546p:plain:w500
だそうです。

ひたすら待つ

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5日の深夜に発注して、11日の昼過ぎに発送されたようです。
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発送連絡のメールに、出来上がった基板の写真が添付されていました。あんまり鮮明でなく、ラベルで隠れてよく見えませんが、これは期待して良いのではないでしょうか。

発送から到着まで日数がかかりそうなので、次に作るものを考えながらのんびり待ちたいと思います。

Thingiverseに図面載せるのは変ですか?

Thingiverse に投稿した3Dには2D化した図面をつけています

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しかし、Thingiverseで2Dを載せている人を他に見たことがありません。誰の役にも立っていないのでしょうか。Fusion360に3Dから2D図面に起こす機能が付いていたから使ってみただけというのもありますが、わざわざ面倒なことしている理由を書きます。

話は逸れますが産業界での図面

産業界では、以前は「2Dで設計してマシニングや組立検証のために3Dを作る」という流れだったのが、ここ十数年で「3Dで設計して仕上げや検査の指示のため2Dの図面を作る」と図面の用途が変わり、描き方も変わってきているようです。また、担当者の思想によっても書き方が変わるとか。例えば寸法の入れ方。

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こんな孔のあいた板の上面を描くとして

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縦横を測るだけだから検査しやすいんじゃ!」という人。

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「この部品がなぜこういう形なのか、設計の意図を表現するのじゃ!」という人。検査しやすい図面主義の人に言わせれば、「中心を出したり角度を測ったり面倒くさい」ということなのでしょう。

このあたりの思想が会社で統一されていれば良いのですが、チェックする人(上の人)と承認する人(さらに上の人)で違ったりすると部品の精度や性能とか全然関係ないところで何度もやり直すのだとか。

Thingiverse に図面を載せる目的

私が気に入った作品を見つけて考えることは、 「自分の小さい3Dプリンタで造形できるサイズか?」と「自分の持ち物に適合しているか?」です。ダウンロードしてスライサーにかけてから、サイズが大きすぎて作れないのが判ったのでは残念です。造形が完成してからサイズが合わず使えなかったとかだとガッカリすぎます。

最大寸法

3Dプリンターに要求される造形サイズ。
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内寸

あなたのリモコンのサイズを測って、入るか確認してください。
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フックの内寸とピッチがあなたの掛けたいラックに合っているか、確認してください。
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オーバーハング

サポートの要不要の判断にどうぞ。
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肉厚

強度に関係する部分です。スライサーのシェル厚やインフィルを設定するときの参考にどうぞ。
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まとめ

3Dがあれば図面はなくても作れるのですが、スライサーの設定や3Dをさらに加工する人向けに情報があったほうが良いのではないかと思っています。 ベテランの機械エンジニアが見たら「なっとらん!」と突き返されそうな図面なのですが、3Dプリンターで造形して使ってみようかと考えている人に役立つであろう情報を目指したらこうなりました。 ほかに誰もやる人のいない図面化を、なぜ新参者の自分がやっているのか。いいわけを書いてみました。