スクラッチ&スクラップ

簡単なプログラミングや電子工作など。しょうもない工作の記録。

1入力4出力のヘッドホンアンプ

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何人かで使えるヘッドホンアンプが欲しい

住宅事情で普段ヘッドホンを使っているけど同じ音を何人かで聴きたい時があります。そんな時はヘッドホンのコードを分岐したりするのが一般的でしょうか。

しかし個別に音量を設定したいときもありますし、音質も悪くなりそうだし。

というわけで、1入力4出力のヘッドホンアンプを作ります。


回路図

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電源

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DCアダプターから9Vで電源供給し、三端子レギュレータで5V に降圧します。

電源ランプは手元にある2色LEDを使い、好きな方の抵抗だけ接続して色を選べるようにしておきます。回路図では10kΩになっていますが暗かったので1kΩにしました。

ミュート

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アンプICのミュート端子に接続します。

ミュートは電源ON/OFF時のポップ音を抑制するために使うので、電源ON/OFF時にだけLOW,それ以外はHIGHになっていれば良いということになります。

電源の立ち上がり/立下りの最中は三端子レギュレータの入出力の電圧差が1V程度ですが、完全に立ち上がってしまえば4V程度の電圧差が発生します。そのため、三端子レギュレータの両端の電圧差が2~3V以上の時だけトランジスタをONしてミュート端子をHIGHにします。

トランジスタはあまり深く考えず、定番の2SA1015 をチップ化した 2SA1162 を使いました。

ピンジャック

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2個のピンジャックを並列に接続しています。分岐ケーブルを用意しなくて済むように、というだけの理由です。テレビとアンプの間に割り込ませる形で接続する用です。

コネクタはアマゾンの激安品です。実物を測ってフットプリント作りました。

ボリューム

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定番のアルプス RK09Lです。2連Aカーブ10kΩ。

アンプ

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遊ぶならオペアンプ使ったほうが楽しいんでしょうけれど、今のところは専用ICで。周辺回路の定数設定とか発振とかの心配が減ります。

簡単に扱えそうなロームの BH3544F を選びました。周辺回路は(ミュート以外は)データシート通り。

出力

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カップリング用のケミコン、保護抵抗、ミニジャックです。

コンデンサも本来ならこだわる所なんでしょうが、電源用、出力のカップリング用、共通で適当に選んでいます。 ニチコンのチップケミコン、UCMシリーズなのですが、体系図によると低インピーダンスを追及した品番のように見えます。

基板アートワーク

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無駄にGNDが広くてビア打ちまくってます。ボリュームのノブがちょっと大きめなので、回しやすさを考えるとこれぐらいのサイズになってしまいました。

アクリルプレート

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基板データをもとにプレートの外形と孔位置を決めます。

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こんな感じで基板と一緒に発注します。

組立て

基板とパネル入荷

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基板組立てと動作確認

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パネル取り付け

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アルミノブがなかなかいい味だしてくれてます。

ついでにホルダー

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問題点

ボリュームノブを触るとハムが乗る

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ボリュームのノブを触ると、ブーンというノイズがヘッドホン出力から聞こえます。ボリュームのボディー(固定用の端子)をGNDに接続したら解消しました。

電源ON/OFF時のポップノイズ

オシロで信号をみると、ミュートは働いているのですがもっと長く効かせないとならないようです。アンプICのデータシート通りにしておけばよかったかも。

電源OFFでもヘッドホンにノイズが乗る

スライドスイッチで電源を断っているのに、ヘッドホンからズバババババというノイズが聞こえます。電源ONしてミュートが解除されるとノイズは消えます。原因が判りませんが、ACアダプタを抜けば止まります。

スライドスイッチは2回路入っているので並列に使用していましたが、1回で電源、もう1回路でGNDをスイッチ(GNDもDCアダプタから切り離す)したらだいぶ改善しました。

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パターンカットして修正。

ボリュームの回転方向が逆

今回の一番の残念ポイント。フットプリントと部品実物では1番ピンと3番ピンの位置が逆でした。なので、ボリュームを右に回すと音量が下がり左に回すと音量が上がる残念仕様になってしまいました。

基板とボリュームを配線で接続していれば配線を入れ替えるだけだったのですが、基板に直接実装しているしGNDはベタなので修正はかなり手間かかりそう。

落としたらフォーンジャックがもげた

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ヘッドホンを挿したまま落としてしまい、パターンごとジャックがもげてしまいました。ここは表面実装ではなくてスルーホールピンを使うべきでした。


良かった点

  • アンプICの最大出力62mWというのが貧弱ではないかと気になっていたのですが、十分な音量が出ます。

  • 音質の良し悪しを判定できるほどオーディオに詳しくないですが、音質にまったく不満はないです。

  • コネクタや端子類を全て基板に実装したので配線が無くスッキリしました。


部品代

  • 基板:$22.28(5枚分)
  • アクリルパネル:$16.55(5セット分)
  • 電気部品:約6000円(予備含む)
  • 機構部品:約2000円(ノブ、スペーサー、ネジ等)

合計 1万2千円ぐらい

まとめ

もう1回、再設計して作り直せば良いものができそうな気がしますが、市販品を買って済まそうと思います。

BEHRINGER  ヘッドフォンアンプ HA400

BEHRINGER ヘッドフォンアンプ HA400